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2007年

法科大学院学生の刑事記録閲覧について


1. 法科大学院は、実務教育を導入した新たな法曹養成制度であり、司法修習との有機的連携の下、運用されるべきものである。しかるに、さいたま地方検察庁は、当会会員が教員に就任している法科大学院の刑事クリニックにおいて、教員たる弁護人(以下「教員たる弁護人」という。)に対し、検察官が開示する証拠を法科大学院学生に閲覧させない旨確約しない限り、開示証拠の謄写を拒否するという対応を行っている。

2. しかし、法科大学院の学生は、教員たる弁護人の指導と監督の下、その刑事事件の弁護活動の一環として、弁護活動に必須の作業である開示記録の検討を行う立場にあり、法科大学院学生が記録を閲覧するとしても、刑事訴訟法第281条の4第1項1号所定の「被告事件の審理の準備のため」に行うのであり、「目的外使用」とは言えず、上記運用は根拠薄弱なものである。なお、「刑事クリニック」を履修する学生は、守秘義務等を遵守する旨の誓約書を大学に提出しており、これに違反すれば退学処分を含む懲戒処分の対象となるとされ、関係者のプライバシー保護の観点からも何ら問題はない。

3. また、司法修習生は、実務修習において検察官開示記録を閲覧することが当然に許されているが、司法修習生も法科大学院生も、法曹資格取得途上の者である点では同一であり、これを区別する合理的根拠はない。

4. 新たな法曹養成制度の中核と位置づけられて発足した法科大学院の教学については、弁護士・弁護士会のみならず、裁判所や検察庁も、良質な法曹の養成という観点から、出来る限りの協力、援助をすべきことは明かであり、上記の検察庁の対応が、実際の事件に触れる中で実務的素養を涵養するという「刑事クリニック」の意義を没却させる行為であることは明かである。これを放置すれば、全国各地の法科大学院における実務教育に多大な悪影響が波及する危険が大きいと言うべきである。

5. そこで、埼玉における法科大学院生に止まらず全ての法科大学院におけるクリニック・エクスターンシップ等の実務教育が健全に発展するよう、さいたま地方検察庁においては、直ちに、その健全な発展を阻害する本件法科大学院学生への記録閲覧の禁止を撤回し、善処されるよう強く求める。

                                         以 上

 

2007年(平成19年)3月30日
埼玉弁護士会 会長  蔭 山 好 信

 

 

 
   
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