2004.07.20

国選弁護人報酬の増額を求める会長声明

日本弁護士連合会は、これまで長年にわたって、国選弁護人に対する報酬を大幅に増額されるよう、最高裁判所をはじめ各方面にくり返し要望してきました。弁護活動に費やされる時間や労力、職務の専門性・重要性を考慮したとき、国選弁護人の報酬基準があまりにも低廉であり、国選弁護人に過重な犠牲と負担を強いることとなっていました。日本弁護士連合会は、全国の会員にアンケート調査をするなど実態調査を行い、その調査結果を基に、平成7年からは、下記のとおり要望してきました。
しかしながら、毎年の予算の決定においては、平成14年度まではわずかずつの増額しか認められなかったうえに、平成15年度及び16年度には2年連続の減額が決定されています。
このような減額決定は、国選弁護制度が憲法上保証された基本的人権である被告人の弁護人依頼権の具体的担保となるものであるところからすると、到底許容できるものではありません。
また、国選弁護人に対する報酬や経費の支給の現状は、弁護士活動の業務の実態や職務の重要性に照応したものとなっておらず、国選弁護制度は、それを担っている弁護士の犠牲と負担において運営されていると言わざるを得ません。
刑事訴訟法の改正により、公布から2年半以内に被疑者段階における国選弁護制度が実施されることとなりましたが、仮に現在の国選弁護の報酬基準を基礎として被疑者段階における国選弁護人への報酬が算定されるとするならば、国選弁護人の犠牲と負担は一層加速されかねません。
そこで、当会は、国選弁護人に対する報酬の支給の現状を抜本的に改善するため、国選弁護人報酬の増額等に関する下記事項が実現されることを強く求めます。

    1. 国選弁護人報酬の支給基準を第一審標準事件1件にあたり、金20万円以上とし、このために必要な予算措置を講じること。
    2. 事件の難度(罪質、罪数など)、法廷外の準備活動、法廷内の具体的訴訟活動、出廷回数、審理期間など、弁護活動に費やされる労力の総体に応じた報酬及び日当を支給すること。
    3. 外国人の被告(要通訳)事件については、他の事件より弁護活動に困難が多いことを考慮し、通常の事件の場合の1.5倍程度の高い額の報酬を支給すること。
  1. 弁護活動のための記録謄写料、交通費、通信費、通訳料、翻訳料等の実費は、本来の報酬に必ず実費加算し、支給すること。
  2. 特別案件については、他の事件より弁護活動に困難が多いことを考慮し、相当額の報酬を支給すること。
  3. 最高裁判所は、法廷外の準備活動や、実費の明細を記載することができる国選弁護人報酬請求書の様式を、当連合会との協議により定めること。

以上

2004年7月20日
埼玉弁護士会会長  中山 福二

戻る