会長声明および決議書・意見書
2009.08.17
消費者の権利擁護のための消費者委員会委員長 及び委員の人選を求める会長声明
- 本年5月29日,消費者庁関連三法が成立し,政府は,この9月にも消費者庁及び消費者委員会を発足させるとして,今,その準備が進められている。
消費者庁及び消費者委員会の設置は,これまでの産業育成型の行政から,消費者の権利擁護と消費者被害の防止につながっていくものとして,期待するものである。 - そこで,重要になるのが,消費者庁長官,消費者委員会委員長,そして消費者委員人事である。これらのポストには,消費者庁設置の経緯・趣旨を理解し,これまでの産業育成型とは異なり,消費者事件に精通し,消費者の目線を持った人物が選任されることが必要である。また,消費者委員会は,消費者庁から独立し,第三者機関として消費者庁を含む消費者行政全般を監視する組織であることを考えれば,その委員全員が,消費者団体関係者,消費者問題関連の学者,消費者事件に積極的に取り組んできた弁護士,マスコミ関係者など,消費者側の立場にある人物でなければならない。そうでなければ,せっかくの消費者庁及び消費者委員会の設置の意義を大きく損なうものである。
- ところが,本年7月1日には,政府閣僚から,消費者庁と消費者委員会の人事構想が発表されたとの報道がなされている。しかし,消費者委員会の委員長は,「委員の互選により選任する」と定められている(設置法12条)にもかかわらず,その人事が,国及び政府主導で既定路線とされているかのごとき報道がなされること自体,望ましいものではない。
- そして,消費者委員会は,設置法7条で強い独立性を規定している。また,参議院附帯決議第6項でも「委員の任命理由を明確化する等,説明責任を果たすよう努めること」と決議されているとともに,既に,消費者委員会の設立準備のために参与会議が設置されているところ,参与会議の審議内容と決定事項がリアルタイムで明らかにされることは,消費者の視点にたった消費者行政をすすめていく上で大変,重要なことである。
- そこで,消費者委員会において,上記のような適正な委員長及び委員の選任手続きが実施できるよう,政府に対し,以下の事項を求めるものである。
<記>
- 消費者委員については,消費者問題に関する経験が豊富で,委員会の制度趣旨に適合した消費者の視点にたった人物を選任すること
- 消費者委員の選任基準を明確にするとともに,任命理由などについて十分に説明責任を果たすこと
- 消費者委員会委員長の選任は消費者委員の自由な意思に基づく互選により選任されるべきものであること
以上
2009年(平成21年)8月17日
埼玉弁護士会会長 小出 重義