2015.03.24

安保法制関連法案の改定に断固反対する会長声明

政府は、2014年7月1日、従前の憲法解釈を変更して集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定(以下「本閣議決定」という。)を行った。
しかし、集団的自衛権は、他国防衛のために自衛隊が武力行使することを本質とするもので、従前、国会で、歴代の内閣総理大臣や内閣法制局長官が、日本国憲法9条の下において、集団的自衛権の行使は認められないと繰り返し答弁してきたものである。また、本閣議決定は、集団的自衛権の行使容認だけでなく、「国際社会の平和と安定への一層の貢献」という名目で、海外における自衛隊による武力行使の道を開こうとするものであり、憲法9条に反するものである。したがって、本閣議決定は、解釈によって実質的に憲法9条を改定するという点で、立憲主義や国民主権の理念に悖り、憲法9条を中核とする恒久平和主義に反するものとして違憲無効といわねばならない。
現在、政府は、本閣議決定を踏まえて、自衛隊法、周辺事態法などの安全保障関連法案を取りまとめ、今通常国会に提出しようとしている。しかし、他国防衛のために自衛隊を海外に派遣し、又は国際貢献の名目の下で、自衛隊の活動範囲を限定してきた非戦闘地域の枠を取り除くことなどにより、自衛隊員が武力紛争に巻き込まれ、外国人を殺し、あるいは自衛隊員が殺される危険性が高まることや、日本人もテロ行為の標的となる危険性が高まるなどの重要な問題点について、国民的な議論が尽くされていない。このような国民的議論が尽くされていない状況の下で、政府が違憲無効な本閣議決定に基づき、とりまとめた安全保障関連法案を国会に提出することは許されないことである。また、国会が、同様の状況の下で、本閣議決定に基づく安全保障関連法案につき、短期間で拙速な審議を行い、強行採決するようなことがあれば、同様に、立憲主義や国民主権の理念や恒久平和主義を掲げる憲法に違反するものであることから断固反対する。
当会は、政府に対し、憲法違反の無効な本閣議決定を即時撤回するよう求める。そして、当会は、今後、政府による国会への安全保障関連法案の提出行為、及び国会による違憲無効な立法行為を阻止するために、平和を守る諸活動に邁進することを表明する。

以 上

2015(平成27)年3月24日
埼玉弁護士会会長  大倉 浩

戻る