2018.02.19

「谷間世代」に対する不平等の是正を求める会長声明

  1. 戦後60余年にわたり維持されてきた司法修習生に対する給費制(国から給与を支給する制度)は2011(平成23)年に廃止された。しかし、給費制廃止の弊害は大きく、早急な見直しがなされ、2017(平成29)年4月19日、裁判所法の改正が実現した。
  2. 裁判所法の改正の結果、同年11月採用の71期司法修習生から、修習給付金として月額13万5000円の基本給付金、住居が必要となる者にはさらに月額3万5000円の住宅給付金を国が支給することになった。
  3. 給費制廃止からわずか6年で、修習給付金の支給を内容とする裁判所法の改正が実現したのは、最高裁判所、政府・法務省、衆参両院はじめ関係各位の、給費制廃止の弊害の大きさに対する深いご理解と修習給付金制度創設に向けての多大なるご支援によるものである。
  4. 一方で、給費制廃止から修習給付金制度創設の間に位置する新65期から70期までの司法修習生(いわゆる「谷間世代」)は、無給で司法修習を受けざるをえない状態におかれていた。谷間世代も修習専念義務や守秘義務を負い、国の三権の1つである司法を担う裁判官・検察官・弁護士の卵として、旧65期以前及び71期以降の司法修習生と同じ内容の修習を受けていた。そのため、谷間世代はそれ以外の司法修習生と比較して著しく重い経済的負担を負うという不平等な状態に置かれていたことになる。同じ司法修習生でありながら、司法修習の時期によって不平等な状態に置かれた者がいるという事実を看過して、国が目指している強い司法を実現することは困難である。
  5. したがって、当会は、最高裁判所、政府・法務省、衆参両院はじめ関係各位に対し、新65期から70期の司法修習終了者に対する一律給付などの方法によって、谷間世代に対する不平等を是正することを求める。また、谷間世代は無給であったため、貸与金(国からの貸付金)を借りた者も多いが、本年7月25日から新65期の貸与金返還が開始するため、本年7月25日までに上記是正措置が講じられない場合は、上記是正措置が講じられるまでの間、貸与金の返還期限を一律猶予する措置を講ずることを求める。

以上

2018(平成30)年2月19日
埼玉弁護士会会長  山下 茂

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