2016.03.29

安全保障関連法の施行に抗議する会長談話

本日,集団的自衛権の行使と他国軍隊の後方支援を自衛隊の任務に加えることを核心とする安全保障関連法が施行された。
しかし,周知のとおり,集団的自衛権の行使は憲法9条に違背するものであり,そのことは当会や日本弁護士連合会・全国の単位弁護士会はもとより,殆どの憲法研究者が指摘する事柄である。また,海外において武力行使中の他国軍隊を後方支援するということは「兵站活動」にほかならず,これも憲法9条に真っ向から反することは論を俟たない。
もともと,安全保障関連法が成立する直前に行われた世論調査では,集団的自衛権行使容認の是非等について十分に議論がなされたとはいえず,先の通常国会で制定することに賛同できないという意見が大多数であった。この点ついては,現内閣自身も安全保障関連法の成立後に国民の理解が得られるよう説明を重ねていくなどと弁明していた。しかし,その後現内閣・政府が安全保障関連法施行に向けて国民的議論を喚起したということは全くない。
また,本年2月19日に野党5党が安全保障関連法の廃止法案を国会に共同提出したが,1か月以上経過した現時点においてもこの廃止法案は国会で審議すらされていない。
このような中,違憲な安全保障関連法を施行させた現内閣の政治姿勢は,まさに立憲民主政を踏みにじるものといわねばならない。
これまで当会は,昨年5月28日の定時総会で『集団的自衛権行使を容認する違憲な閣議決定の撤回を求め,安全保障法制の制定に反対する総会決議』を採択し,7月15日には『違憲な安全保障関連法案の強行採決について抗議する会長談話』を,9月19日には『違憲な安全保障関連法案の成立に断固抗議する会長声明』を発出するなどしてきた。
以上より当会は,違憲な安全保障関連法を施行させたことにつき強く抗議するとともに,今後改めて市民・国民や日弁連・単位弁護士会等と連携して,その廃止に向けた諸活動を展開することを表明する。

2016(平成28)年3月29日
埼玉弁護士会会長  石河 秀夫

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