2015.10.13

平成27年度司法試験合格者発表を受けての会長談話

2015年(平成27年)10月13日
埼玉弁護士会会長  石河 秀夫

  1. 本年9月8日,2015(平成27)年度司法試験合格者数が1850人であるとの発表がなされた。この人数は,2014(平成26)年度の合格者数1810人に比べ,さらに40人を増加させたものであり,弁護士過乗1」によって現在生じている諸問題をさらに悪化させる結果になるものであって,かかる人数の合格者としたことは極めて遺憾である。
  2. そもそも,司法試験の合格者数は,1990(平成2)年までは500人前後で推移していたところ,その後、漸次増加し,1997(平成9)年には746人,2001(平成13)年には990人などといった人数であった。
    しかし,政府が,2002(平成14)年3.月に司法制度改革推進計画を閣議決定し,司法試験合格者を大幅かっ急速に増加させる政策を推進したことから,司法試験合格者数は急激に増加することとなり,2007(平成19)年に2099人となった後は,2013(平成25)年まで2000人を超えていたのである。
    このように司法試験合格者が急激に増やされた一方で,裁判官,検察官の採用人数がさほど増えないため,その増加人数分のほとんどが弁護士となった。これにより,弁護士の人数は,2001(平成13)年に1万8243人であったところ,本年は3万6000人台と倍増しているのである。
  3. また,弁護士人口が急増したにもかかわらず,裁判所における新受事件数の統計や弁護士会の法律相談センターにおける相談件数の統計等から明らかなとおり,弁護士に対する需要が増加する状況にはなく,むしろその需要の低下傾向すらみられるのである。
  4. このため,弁護士急増後,弁護士の経済的基盤の弱体化が統計上も顕著となっており,また,新人弁護士の就職難とその結果としての新人弁護士におけるOJT(onthejobtraining)の不足といった弊害も増大している。これらのことは,弁護士から公益活動や無償の人権擁i護活動を行う余裕を奪い,さらには,弁護士問の過当競争や弁護士の活動の質の低下とも相まって,利用者である国民に損失をもたらしかねない状況ともなっている。かかる状況から,法曹を目指そうとする者の人数自体が急減してしまっている事実も看過できない。この状況を放置すれば,わが国における司法の弱体化は免れないのである。
  5. 当会においては,早くから上記弊害の発生を憂慮して議論を重ねてきており,2007(平成19)年及び2009(平成21)年には,司法試験の合格者数を年間1000人程度とすべき旨の総会決議をしたところである。
    ところが,その後も,前記のとおり,需要を無視した多人数の司法試験合格者を出してきた結果,上記弊害は,上記各総会決議当時より,さらに深刻となっており,もはや一刻の猶予もなく,その改善に向けて対策を施さなければならない状況となっている。
  6. しかるに,前記のとおり,本年9月8日に発表された司法試験合格者数は前年度を上回っており,この人数ではなお弁護士急増の状況が続くことになり,上記弊害が悪化することは明白であるから,かかる多人数の合格者としたことに対して,強く抗議の意志を表明する。

以上

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