2015.07.15

違憲な安全保障関連法案の強行採決について抗議する会長談話

 本日,政府は,衆議院国家安全保障に関する特別委員会において安全保障関連法案を強行採決した。
上記法案は,憲法第9条に明らかに違反するものであり,国民の理解が全く得られていない現段階でこのような法案を強行採決したことは,立憲主義及び民主主義そのものを破壊するものであって断じて許されない。かかる政府の行為は暴挙と言えるものであり,強く抗議する。

日本国憲法は,アジア・太平洋戦争でアジア諸国民等2000万人以上,日本国民310万人以上の命が奪われたとい引参劇を二度と繰り返さないとの痛切な反省から,その第9条で戦争を放棄し,あらゆる戦力の不保持と交戦権の否認を定め,徹底した非軍事恒久平和主義を採るに至った。
しかし,本日,政府が強行採決した法案は,自衛隊が集団的自衛権の名のもとに海外へ武器を携帯して出かけ,アメリカ軍その他の軍隊と一体となって戦闘行為に加担することを容認するものであって,憲法第9条に明白に違反する。このような集団的自衛権が憲法第9条に違反することは,歴代内閣法制局長官からも,また,多くの憲法学者からも厳しく指摘されているところである。
加えて,近時の各報道機関による世論調査では,集団的自衛権について3分の2以上もの国民の意見が「政府の説明は十分でない」という結果であった。
今回の安全保障関連法案中の集団的自衛権は,憲法改正の手続(憲法96条)を経ずに,現政府の閣議決定で恣意的に憲法を改変したという点においても違憲なものであり,しかも,政府は,その法案について国民に十分な説明を行わず,また国民の理解も得られていない状況でありながら強行採決したのは,暴挙というほかない。
政府による強行採決は,我が国の立憲主義と民主主義への挑戦であり,このような強行採決を許すならば,我が国の立憲主義と民主主義は崩壊する。

当会は,これまでも,本年5月28目の定時総会において『集団的自衛権行使を容認する違憲な閣議決定の撤回を求め,安全保障法制の制定に反対する総会決議』を採択し,また,同月31日には北浦和公園における1万人集会を後援するなど,集団的自衛権行使に反対する各種の運動を行ってきた。
我が国の立憲主義と民主主義を守るため,これからも多くの国民や他の弁護士会等と一緒になって,これら違憲の法案と徹底的に戦うことを宣言し,強行採決に対し強く抗議する。

以上

2015(平成27)年7月15日
埼玉弁護士会会長  石河 秀夫

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