2021.05.26

同性婚を認めていない民法及び戸籍法の速やかな改正を求める会長声明

  1. 2021(令和3)年3月17日、札幌地方裁判所は、異性間の婚姻のみを認め、同性間の婚姻を認める規定を設けていない民法及び戸籍法の諸規定が、法の下の平等を定める憲法14条1項に違反するという判決を言い渡した。

  2. 上記判決は、婚姻とは「身分関係と結び付いた複合的な法的効果を同時又は異時に生じさせる法律行為である」としたうえで、異性愛のカップルはこの婚姻によって生じる法的効果を享受するか否かを選択できるのに対して、同性愛のカップルは婚姻を欲したとしても婚姻によって生じる法的効果を享受できないという区別取扱いがある旨述べた。そして、「異性愛者と同性愛者の違いは、人の意思によって選択・変更し得ない性的指向の差異でしかなく、いかなる性的指向を有する者であっても、享有し得る法的利益に差異はない」にもかかわらず、同性愛者には婚姻によって生じる法的効果の一部すらも享受する法的手段を提供しないことは、合理的根拠を欠く差別的取扱いに当たると判断した。

  3. 上記判決は、2019(平成31)年2月14日に、札幌、東京、名古屋、大阪で提訴された、法律上同性同士の婚姻ができない現行民法及び戸籍法の違憲性を問う国内初の訴訟(「結婚の自由をすべての人に」訴訟)に対して、初めて下された司法の判断である。上記判決は、婚姻の制度設計において、国会に広範な立法裁量があることを認めつつも、法律上同性同士の婚姻ができないことは、同性愛者に対する不当な差別であるとした点において、画期的であり、かつ、人権の最後の砦としての司法権の役割を全うしたものとして高く評価できる。

  4. 当会は、国に対し、本判決の内容及び「結婚の自由をすべての人に」訴訟の原告らの声を真摯に受け止め、法律上同性同士でも婚姻ができるように、民法及び戸籍法を速やかに改正することを求める。

以上

2021(令和3)年5月26日
埼玉弁護士会 会長 髙木 太郎

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