2017.06.15

いわゆる「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法の成立に抗議する会長談話

  1. 本日、いわゆる「共謀罪」を創設する「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等 に関する法律等の一部を改正する法律」(以下「本法」という。)が成立した。
  2. 当会は、本年5月23日に開催された定時総会において、本法の成立に全会一致で 反対する旨決議した。同決議において表明したとおり、本法は、日本国憲法によって 保障された思想・良心の自由、表現の自由、集会・結社の自由、プライバシー権など の基本的人権に対する重大な脅威となる法である。また、これまでの国会審議の過程 からも明らかなとおり、そもそも、本法の成立が必要であるという根拠(立法事実) は存在しないと言うほかない。
  3. 当会は、本年5月29日、本法の廃案を求めるパレード(参加者約250人)を行 い、さらに、6月7日には川越市で(参加者約250人)、同月9日にはさいたま市で (参加者約330人)、同月13日には越谷市で(参加者約500人)、共謀罪に反対 する緊急市民集会(「共謀罪にレッドカード!!」)を開催し、市民とともに、何度も、 粘り強く、本法の廃案を強く求めてきた。
  4. 本法について憲法適合性や立法事実の存在に多くの疑問の声があがり、法案審議中 の参議院法務委員会において、一層、慎重に審議を尽くす必要性が高まるなか、参議 院は、あろうことか、「特に緊急を要する」事情など皆無であるにもかかわらず、法務 委員会の採決を省略して本会議において審議・採決をするという、異例の措置をとり、 本法を成立させた。このような措置は、法案審議の過程で様々な意見を汲み取って法 を成立させるという立憲民主主義の精神に著しく悖るものと言わざるを得ず、強い非 難に値する。
  5. 当会は、本法の成立に断固抗議するとともに、今後、改めて、市民とともに、その 廃止に向けた諸活動を展開し、また、市民の自由な活動を阻害する不当な捜査に対し、 弁護士会をあげて、刑事弁護活動の充実をはかっていくことを表明する。

以 上

2017(平成29)年6月15日
埼玉弁護士会会長  山下 茂

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