2003.03.25

アメリカ等のイラク攻撃に抗議する会長声明

アメリカ、イギリス等は、3月20日、国連安全保障理事会の決議を経ることなく、イラクに対する武力攻撃を開始し、大規模爆撃等本格的な侵攻を続けている。又、小泉純一郎首相は、国会などにおける議論や国民に対する説明も不十分なままにアメリカ等の武力攻撃を支持する旨言明した。
埼玉弁護士会は、2002年11月26日、「イラク問題について日本国憲法及び国連憲章の平和原則に基づく解決を求める会長声明」を発して、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする弁護士の立場から、国連憲章と国際法に違反するアメリカのイラク攻撃に反対し、日本政府がこれに協力することなく、日本国憲法の平和主義を生かして問題の解決に尽力することを強く要請してきたところである。
今回の武力攻撃が、国連憲章に違反した違法な戦争行為であることは明らかである。国連憲章は、加盟国の武力行使を原則として禁止し、加盟国に紛争の平和的解決を義務づけており、例外的に武力行使が許されるのは、安保理が必要な措置をとるまでの間の自衛権の行使として、或いは安保理の決議に基づく行動としてなされる場合に限られる。今回のアメリカ等の武力攻撃は、いかなる意味でも自衛権行使とは言えず、又、安保理決議1441号等も到底これに同意を与えるものではありえず、従って安保理決議に基づくものと言えないことも明らかであって、二度にわたる世界大戦等幾多の戦争による犠牲を踏まえて築きあげられた国際社会における法の支配と平和への国際秩序を根底から覆す暴挙である。
又、こうした武力攻撃は、子供たちを含む多くの罪なき人々の命を無差別に奪うことになる。これこそ最大、最悪の人権侵害というべきであって、基本的人権の擁護を使命とする立場の者として到底容認できない。
当弁護士会は、あらためて、アメリカ等が全世界の平和を願う世論に背を向けて開始した違法な武力攻撃に強く抗議し、即時中止を求めるとともに、日本政府に対しても、戦争に反対する国民の声を真摯に受け止め、日本国憲法の平和主義・国際協調主義、基本的人権擁護の理念に立ち返り、武力攻撃に対する支持・加担を中止し、反対の態度を明確にするよう求めるものである。

以上

2003(平成15年)3月25日
埼玉弁護士会会長  柳 重雄

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