2004.04.21

イラクからの自衛隊即時撤退を求める会長声明

当会は,かねてからイラク特措法とこれに基づくイラクへの自衛隊派遣は,日本国憲法の平和主義に反するとして,断固たる反対の意思を表明してきた。

しかるに政府は,イラク南部サマワに陸上自衛隊を派遣するなど「人道支援」「復興支援」の名のもとに,これまで多くの自衛隊員を派遣し,駐屯させている。

連日の報道からも明らかなように,現在のイラクは,ますます緊迫の度合いを深めている。イラク各地で占領抵抗勢力による米軍に対する攻撃が続いており,米軍はファルージャなどでクラスター爆弾を使用し,兵士のみならず女性,子どもを含む民間人多数を殺害している。他方で武装勢力による自衛隊を狙った砲撃が伝えられるとともに,この間,イラクに滞在していた日本人のボランティア,ジャーナリストなど5名が武装勢力によって身柄が拘束されるという事態も発生した。こうした状況のもとでは,いまだイラク全土が戦闘地域にあると言わざるを得ず,サマワがイラク特措法2条の自衛隊の活動地域とされる「非戦闘地域」であるとは到底言いがたい状況にある。

政府は,イラク特措法に照らしても自衛隊をイラクから撤退させるべきである。 いま,真に求められるべきは,イラクの人々による安定した統治機構の枠組みづくりであり,そのうえに立った国連中心によるイラク国民の生活と産業基盤の確立・整備である。もともと,昨年3月に開始された米英によるイラク攻撃自体が国連憲章に真っ向から反するものであり,今や「大量破壊兵器」の存在という攻撃の大義名分さえ失われている状況にある。米軍などによるイラク占領は一日も早く解消されなければならない。

当会は,米軍の占領や自衛隊の派遣がもたらす深刻な事態が今後とも繰り返されるおそれの高いことを憂慮し,政府が即刻自衛隊を撤退させるとともに,真の復興支援の施策を講じることを強く求める次第である。

以上

2004年4月21日
埼玉弁護士会会長  中山 福二

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