2007.08.29

公安調査庁の市民監視活動に抗議する声明

  1. 2007年6月8日、公安調査庁関東公安調査局新潟公安調査事務所長ら3名が、新潟県佐渡市の佐渡グランドホテルを訪れ、同ホテルに対し、同年6月23日、24日に開催される青年法律家協会の定時総会に参加するため6月23日に同ホテルに宿泊する参加者の宿泊予定者名簿を提供するように求めた。
  2. しかしながら、公安調査庁設置法第3条によれば、公安調査庁の任務は「破壊活動防止法の規定による破壊的団体」及び「無差別大量殺人を行った団体の規制に関する法律の規定による無差別大量殺人を行った団体」に関してのみ調査や処分の請求及び規制措置を行うことに限定されている。
  3. しかるに、青年法律家協会は、1954年に多数の学者や弁護士らが参加し、憲法を擁護し、平和と民主主義を守るために設立された団体であって、この設立以降、いかなる意味においても破壊的団体あるいは無差別大量殺人行為を行った団体でもないのであるから、同庁の行った行為は、その任務たり得ず、違法な行為であることは明らかである。
  4. さらに、公安調査庁のこのような活動自体、国民の活動に対する監視活動であって、思想良心の自由を圧迫し、個人及び団体の人格権を侵害する違憲な行為である。
    そもそも、政府は主権者である国民の負託を受けて権力を担当するものであるが、国家権力が正当な市民運動を日常的に監視下におくことは、民主主義国家においては許されることではない。
    また、国家権力が市民運動の動向を監視しそれを情報として把握することは、そのこと自体がプライバシー権の侵害であるのみならず、集会・結社の自由、表現の自由などに重大な萎縮効果をもたらすもので憲法上許されない。
  5. このように、公安調査庁が行った行為は、違憲・違法な行為であることは明らかであり、よって当会は政府に対して、公安調査庁の行った本件行為に関する明確な謝罪と、今後このような違憲・違法な行為を行わないことの確約を強く求める 。

以上

2007年(平成19年)8月29日
埼玉弁護士会 会長  小川 修

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