2007.12.15

適正な弁護士人口に関する決議

2007年(平成19年)12月15日 埼玉弁護士会

  1. 弁護士は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とし,かかる使命達成のために高度の自治が保障された。このような崇高な使命と「弁護士自治」のもと,弁護士は,「個人の尊厳」を中核とする憲法理念を実現すべく諸活動を展開してきた。ところが,2001年6月12日付けの司法制度改革審議会意見書(以下「意見書」という)に基づく政府主導の法曹人口激増により,弁護士・弁護士会は,現在,深刻な事態に直面している。
  2. 意見書は,我が国の法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとし,司法試験合格者を直ちに増加させ,2010年ころにはその合格者数を3000人程度とすることにより,おおむね2018年ころまでには実働法曹人口を5万人規模とすることを目指すべきだとした。その理由としては,渉外事件や専門的知見を要する法的紛争の増加,弁護士の地域的偏在是正の必要性などの要因から,今後の法曹需要は量的に増大し,質的に一層多様化高度化すると予想するとともに,我が国の法曹人口が先進諸外国と比較して極端に少ないことなどを挙げた。
  3. しかしながら,意見書が公表された後6年を経過した今日,そこでいう各種要因のいずれが法曹需要を量的に増大させるものか強い疑問を生じさせている。特に,弁護士の地域的偏在の是正についていえば,それに必要な弁護士数は数百人程度で足り,しかも,弁護士人口の増加がかかる偏在解消に直結するものでないことは,依然として,新規登録者が東京,大阪及び名古屋へ集中している現状からみても明らかである。とりわけ,意見書は「実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定される」などというが,一般的には,個々人にとって一生に一度あるかないかという法曹に対する需要が,市場原理というものに馴染まないものであることは論をまたない。のみならず,本来,基本的人権の擁護という使命は,市場原理を強調することによって達成されるべき価値では全くなく,むしろ,その価値は競争至上主義を本質とする市場原理と真っ向から対立するものといっても過言ではない。
    また,諸外国の法曹人口についても,各国の司法制度や法曹需要の状況,とりわけ我が国の司法書士や税理士等「隣接法律専門職」と類似の制度の有無などの諸要素を比較検討することにより,はじめて適正な比較が可能となるはずであるが,これまで,司法制度改革審議会や政府において,そのような検討がなされた形跡は全くない。
  4. この法曹人口の激増は,裁判官・検察官の定員大幅増に繋がらず,もっぱら弁護士人口の急激且つ大幅な増大に帰着しているが,その結果,司法修習を終了しても既存の法律事務所に就職できない新規登録弁護士の大量発生という事態に至っている。これに対し,日本弁護士連合会は,全国の会員や企業,官庁・自治体に対し新規登録弁護士の採用を呼びかけるなどの対処をしてきたが,このまま増大が続くのであれば,このような対策が早晩破綻するであろうことは想像に難くない。
  5. そもそも,法曹人口問題における本質的課題は,市民の人権を十全に擁護する上で真に必要とする量の法曹を確保しその質的向上を不断に図ることである。しかしながら,現下の急激且つ大幅な弁護士人口増大は,このような課題に応えるものでは決してない。むしろ,それは,質の低下をきたすこととなり,法律専門知識がない故に適正な選択ができない市民に重大な損失を与える危険性があるばかりか,生活防衛のために人権擁護という使命を果たすことができない弁護士を大量に生じさせることになる虞が極めて高い。このような事態の招来を,私たちは黙過することは断じてできない。

    そこで,当会は,次のとおり提言する。

    1. 政府は,司法試験合格者数について直ちに見直しに着手するとともに,その適正規 模についての調査・検証が完了するまでの間,当面,年間合格者数を1000名程度とすべきである。
    2. 日本弁護士連合会は,政府に対し,2010年以降司法試験年間合格者数3000名という予定の見直しを求めるとともに,適正な法曹人口についての調査・検証を独自に実施し,法曹人口問題について全国の市民に訴え理解を求めるよう努めるべきである。
    以上,決議する。

提案理由

はじめに

一人ひとりの個人を「個人として尊重する」ことを核心とした人権保障の体系である日本国憲法は,本年5月3日,施行60周年を迎えた。その憲法のもとで1949年9月に施行された現行弁護士法は,弁護士の使命を「基本的人権を擁護し,社会正義を実現すること」と定めるとともに,かかる崇高な使命達成のため,弁護士・弁護士会に対し,いずれの国家機関の監督にも服さない高度の自治を保障した。
そしてこれまで,弁護士・弁護士会は,いかなる権力にも厳しく対峙し,諸個人の権利・自由を擁護するため様々な活動を展開してきた。
ところが,現下の政府主導による法曹人口,とりわけ弁護士人口の急激且つ大幅な増大という事態は,以下に述べるとおり,もはや黙過し得ない深刻な問題となってきている。

1.司法試験合格者数の推移について

司法試験の合格者数は,1962年までは概ね年間200人前後であったが,その後1963年より1990年までは概ね500人前後で推移し,1991年以降1998年にかけて600人から800人程度,1999年以降は1000人程度と段階的に増加されてきた。
その後,1999年に内閣のもとに設置された司法制度改革審議会(以下「審議会」という)は,2001年6月12日,同日付け意見書(以下「意見書」という)を内閣に提出し,そこにおいて,日本の法曹人口の大幅な増加を図ることが喫緊の課題であるとし,司法試験合格者を直ちに増加させ,2010年ころにはその合格者数を3000人程度とすることにより,おおむね2018年ころまでには実働法曹人口を5万人規模とすることを目指すべきだとした。
内閣は,同月15日,この審議会の意見を最大限尊重して司法制度改革の実現に取り組むこととし,速やかにこれを推進するための所要の作業に着手する等との閣議決定を行った。具体的には,(1)司法試験合格者数については,2002年以降1200人程度とし,2004年以降は1500人程度とし,2010年ころには3000人程度とすることを目指すべき,(2)法科大学院制度を導入し,司法試験を法科大学院の教育内容を踏まえた新たなものとする,(3)この新司法試験は3回程度の受験回数制限を設ける等である。
その結果,司法試験合格者数は,2004年以降1500人前後となり,法科大学院修了第1期生を輩出した2006年には,旧司法試験549人,新司法試験1009人,さらに,2007年には旧試験248人,新試験1851人の合格者数となっている(なお,旧司法試験は2010年度をもって廃止される)。

2.意見書についての検討

意見書の司法試験合格者数大幅増大が必要だとする理由は,主に,(1)渉外事件や専門的知見を要する法的紛争の増加,弁護士の地域的偏在是正の必要性などの要因から,今後の法曹需要は量的に増大し,質的に一層多様化高度化すると予想するとともに,(2)我が国の法曹人口が先進諸外国と比較して極端に少ないことなどである。
しかし,意見書が公表された後6年を経過した今日,そこでいう各種要因のいずれが法曹需要を量的に増大させるものか強い疑問を生じさせている。
意見書は,今後,渉外事件や専門的知見を要する法的紛争が増加すると予想しているが,例えば,専門的知見を要する法的紛争の典型である知的財産権訴訟の地方裁判所における新受件数について見ると,1994年度が497件,1997年度が563件と増加傾向にあったが,その後2005年度541件,2006年度542件という具合である。
弁護士の地域的偏在の是正についていえば,依然として,新規登録弁護士が東京,大阪及び名古屋の3大都市圏へ集中している ことからして,弁護士人口の増大が弁護士の地域的偏在解消に直結するものでないことは,もはや明らかとなってきているといえる 。加えて,かかる偏在解消に必要な弁護士数は,数百人程度で足りる のであるから,そもそも,この問題自体が弁護士人口増大の理由となり得ないものだったのである。
また,意見書は,「実際に社会の様々な分野で活躍する法曹の数は社会の要請に基づいて市場原理によって決定される」という。しかしながら,幾多の商業店舗が日常的に利用する市民自身の選別によりその優劣が決せられ,淘汰されるということが市場原理なるものの典型なのであって,一般的には,個々人にとって一生に一度あるかないかという法曹に対する需要が,本来的に,このような市場原理というものに馴染まないものであることは論をまたない。のみならず,我々弁護士に課せられた基本的人権の擁護という使命は,市場原理を強調することによって達成されるべき価値では全くなく,むしろ,その価値は,競争から脱落し,あるいは社会から排除された弱者の人権主体性を回復することにこそあるのだから,競争至上主義を本質とする市場原理と真っ向から対立するものといっても過言ではないはずである。
さらに,諸外国の法曹人口についても,各国の司法制度や法曹需要の状況,とりわけ我が国の司法書士や税理士等「隣接法律専門職」と類似の制度の有無などの諸要素を比較検討することにより,はじめて適正な比較が可能となるはずであるが,これまで,審議会や政府において,そのような検討がされた形跡はない。
因みに,隣接法律専門職の人口について見ると,司法書士は18,802人(本年9月1日現在),税理士は70,768人(同年9月末日現在),弁理士7,353人(同年8月末日現在),土地家屋調査士18,146人(同年4月1日現在),社会保険労務士31,468人(同年4月末日現在),行政書士39,485人(同年8月末日現在)で,合計210,328人となる(なお,公認会計士は23,195人(2006年12月現在)である。

3.弁護士人口の激増

  1. 裁判官・検察官の定員数の推移
    裁判官定員(簡易裁判所判事を除く)は,1946年度は1,232人であったが,その後1950年度1,533人,1960年度1,687人,1970年度1,838人,1980年度1,956人,1990年度2,017人,2000年度2,213人と推移し,2006年度で2,535人となっている。
    また,検察官定員(副検事を除く)は,1946年度は608人であったが,その後,1950年度930人,1960年度1,044人,1970年度1,132人,1980年度1,173人と推移してきたが,以降1994年度までこの1,173人で変化がなく,1995年以降ようやく定員数は漸増され,2000年度で1,345人,2006年度では1,591人となっている。
  2. 弁護士人口の激増
    弁護士人口は,1946年度時点で5,737人,1950年度5,862人,1960年度でも6,439人であったが,その後,1970年度8,888人,1980年度11,759人,1990年度14,173人と,概ね年間250人前後増加してきた。ところが,2000年度には17,707人,その6年後の2006年度においては22,056人となっている。
    また,2007年4月時点では23,415人となっているが,同年度中には,さらに2000人以上の新規登録が確実なので,2008年4月時点では25,000人を優に超えることが予想される。

4.事件数の推移

最近の裁判所における新受事件数を見ると,民事・刑事ともに2003年度前後がピークであり,その後は漸減傾向となっている。
例えば,

  1. 第一審民事通常訴訟事件の新受件数は,1990年度106,871件,2000年度156,850件,2003年度157,833件,2004年度138,498件,2005年度132,654件,2006年度148,767件 である。
  2. 破産事件の新受件数は,1990年度12,478件,2000年度145,858件,2003年度251,799件,2004年度220,261件,2005年度193,179件,2006年度174,861件と推移している。
  3. 刑事事件の地方裁判所新受人員数は,1990年度63,763人,2000年度94,141人,2003年度111,822人,20004年度113,464人,2005年度111,730人,2006年度106,016人である。

5.日本弁護士連合会の対応

審議会は,2000年11月に発表予定としていた「中間報告」のための「とりまとめ」を同年8月に発表したが,そこでは法曹人口について,検討中の法科大学院構想を含む新たな法曹養成制度の整備状況を見定めつつ,計画的に,できるだけ早期に年間3000人程度の新規法曹の確保を目指すこととしていた。
これを受け,日本弁護士連合会(以下「日弁連」という)は,同年11月1日の臨時総会において,「法曹人口については,法曹一元制の実現を期して,憲法と世界人権宣言の基本理念による『法の支配』を社会の隅々にまでゆきわたらせ,社会のさまざまな分野・地域における法的需要を満たすために,国民が必要とする数を,質を維持しながら確保するよう努める」とする決議を採択した。
その後は前述のとおり司法試験合格者数が激増してきているのであるが,これは,上述のとおり,裁判官・検察官の定員大幅増には繋がらず,もっぱら弁護士人口の急激且つ大幅な増大に帰着している。その結果,司法修習を終了しても既存の法律事務所に就職できない新規登録弁護士の大量発生,勤務弁護士の給与水準の大幅低下などという事態に至っている。
これに対し,日弁連は,全国の会員や企業,官庁・自治体に対し新規登録弁護士の採用を呼びかけるなどの対処をしてきた。
その一環として,日弁連は,昨年,企業や自治体等に対する弁護士需要アンケートを実施したが,2006年11月6日現在において,対象とした国内企業3795社のうち,回答は1019社で,そのうち弁護士の採用を考えていると回答したのが49社(アンケート対象企業の1.2%)で,今後5年間の採用予定数は45名~120名という結果であった。また,外資系企業1457社のうち,回答は202社,採用予定ありが11社(0.7%)で,5年間の採用予定数は13名~30名,地方自治体849機関のうち,回答369機関で,7機関が採用予定ありと回答した(0.8%)が,今後5年間では0名~7名,中央官庁46省庁のうち回答28省庁で,5省庁が採用予定あり(10.8%)で,今後5年間では42名~50名超という結果であった。全体で見ると,対象数6147のうち72が採用予定ありということなので,1.1%にとどまる 。
さらに日弁連は,本年12月6日の臨時総会において,司法修習を終えて弁護士である会員になった者であって,修習を終えてから満2年を経過しない者の同会会費を月額7000円の半額にするという会則改正案を提案した。これは,「近時,司法修習生の人数が増加し,新規登録弁護士数も多くなってきた。一方で,修習直後の弁護士について,勤務弁護士の給与水準は低下傾向にある」との現状認識を理由とするものである。しかしながら,この提案は,かかる給与水準低下傾向についての真摯な原因究明や検証をした様子もなく出されたものであり,他方で,このような会費減額程度では,新規登録弁護士の経済状態改善のための抜本的解決になど到底ならないものといわざるを得ない。
今後,2010年に司法試験合格者数が3000人程度となり,その後も同程度で推移した場合の弁護士人口は,2010年度31,099人,2020年度54,845人,2030年度78,925人,そして,2038年度97,303人と推計されている 。
今,日弁連に真に求められているのは,直ちに「司法試験合格者数3000人」という閣議決定路線の検証に取り組むことである。

6.弁護士会内の動き

  1. 中国弁護士会連合会の2007年10月12日大会決議
    中国弁護士会連合会は,広島,岡山,山口,島根及び鳥取の各単位弁護士会からなる連合会で,その会員数は687人(本年4月現在)であるが,本年10月12日の定期大会において,次のとおり,司法試験合格者数を適正水準まで削減すること等を求める決議を採択した。
    内容は,「司法試験合格者の大幅増員は弁護士志望者の就職難並びに法曹の質の低下をもたらすおそれが大であるから,法曹に対する需要の予測と司法試験の合格水準の検証を行い,速やかに司法試験合格者数を適正水準まで削減するよう関係各機関に求める。」等というものである。
  2. 中部弁護士会連合会の2007年10月19日大会決議
    中部弁護士会連合会は,愛知,三重,岐阜,金沢,富山及び福井の各単位弁護士会からなる連合会で,その会員数は1477人(本年4月現在)であるが,本年10月19日の定期大会において,次のとおり,司法試験合格者数の見直し等を求める決議を採択した。
    内容は,「日本弁護士連合会は,司法試験年間合格者数3000人の前倒し実施およびさらなる大幅な合格者数増員の検討に対して,毅然として反対すると共に,3000人増員計画自体を見直し,国民の需要に見合った適正な法曹人口政策をとるよう,政府並びに国民に対して訴える活動を開始するべきである。」等というものである。

7.結政府の動き

鳩山邦夫法務大臣は,本年10月19日,衆院法務委員会での法相就任挨拶の中で,現在の政府の司法試験合格者「3000人」という方針を説明した上で,「その後の将来的な法曹人口の在り方については,我が国の経済社会の法曹に対するニーズの観点,法曹の質の確保の観点,『3000人では多すぎるのではないか』という観点から,検討すべき問題であると考える」と述べた 。
また,同法相は,最近発売された週刊誌のインタビューにおいて「1500人」程度が適当ではないかという趣旨の発言もしている。

8.人口推移予測

日本は,今後,「少子高齢化」が一層進むとともに,出生率のさらなる低下に伴い人口も減少するといわれている。因みに,2005年の人口は約1億2776万人で65歳以上の人口は約2576万人(人口構成比20.2%)であったが,2020年は人口約1億2273万人,65歳以上約3589万人(同29.2%),2030年は人口約1億1522万人,65歳以上約3667万人(同31.8%),そして,2050年になると人口9515万人,65歳以上3764万人(同39.6%)と推計されている 。

9.以上から

「年3000人の増員」は,理論的にも現実的にも根拠がないものと考える。

10.そもそも

法曹人口問題における本質的課題は,個人・市民の人権を十全に擁護する上で真に必要とする量の法曹を確保しその質的向上を不断に図ることである。しかしながら,現下の急激且つ大幅な弁護士人口のみの増大は,このような課題に応えるものでは決してない。むしろ,それは,弁護士として当然求められるべき法的素養や専門知識の不足という質の低下を招くここととなり,ひいては,かような弁護士によって,適切な選択が困難な市民に重大な損害を被らせる危険があるとともに,生活防衛のために人権擁護という使命を果たすことができない弁護士を大量に生じさせることになる虞が極めて高い。
省みれば,1997年の日弁連臨時総会において,司法試験合格者数を「1999年度から1000名程度に増加する」との95年臨時総会決議の増員時期を「1998年度から」と1年早め,さらなる増員は「2002年10月に3年にわたる1000名増員の影響を調査,検証して決する」ことを決議し,その旨を法曹三者で合意したはずである 。ところが,その後,かかる調査も検証も何ら行われることのないまま,前述の2000年11月1日臨時総会決議が採択されてしまったのである。したがって,法曹人口や弁護士人口の適正規模に関する調査・検証を終えるまでは,当面,上記97年決議の「1000名」程度に戻すべきである 。
以上を踏まえ,次のとおり提言するのが相当と思料する。

  1. 政府に対する提言
    司法制度改革によって,従前の独立行政委員会司法試験管理委員会は廃止され,現在,司法試験を所管するのは,法務省の内部に設置されている「司法試験委員会」である。
    そこで,政府(法務省)は,直ちに,司法試験合格者数についての閣議決定の見直しに着手するとともに,その適正規模についての調査・検証が完了するまでの間,当面の司法試験合格者数を年間1000人程度とすべきである。
  2. 日本弁護士連合会に対する提言
    日弁連は,2000年11月1日の臨時総会において,審議会の法曹人口に関する意見を容認する方向の決議を採択した。このため,日弁連の現執行部は,司法試験合格者数が年間3000人となった段階で,順次,法曹人口増大による影響について検証するという姿勢でいる。しかしながら,これでは,現に生じ,且つ,今後さらに深刻化しようとしている弁護士人口激増による諸問題に対処することは遅きに失するといわざるを得ない。
    そこで,日弁連に対して,司法試験合格者数を年間3000人とする閣議決定の見直しを求めるとともに,適正な法曹人口について独自に調査・検証を開始し,この問題について広く市民に訴え理解を得る努力をすることを求めるべきである。

以上

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