2011.01.14

給費制1年延長と今後の課題に関する会長声明

2010年11月26日、司法修習生に対する給費制を1年延長する「裁判所法の一部を改正する法律」が成立した。
司法修習生の給費制の問題は、単なる個人の資格取得の問題ではなく、司法制度の人的基盤の確保と国民の権利の守り手を育てる国民的課題である。この法改正は、極めて限られた期間の中で、私たち弁護士会が市民集会や署名運動や街頭宣伝活動等を通じて訴えた内容を、市民団体、報道関係者、国会議員各位に広く理解して頂いた賜物であり、これに賛同・協力して頂いた関係者の皆様に心より感謝する次第である。
とはいえ、国会においても十分な審議期間がなかったこともあり、今回の改正はあくまでも本年10月31日までの1年間に限定した延期措置であり、最終結論はそれまでに再度検討を尽くす必要がある。衆議院法務委員会の付帯決議は、政府及び最高裁判所に対し、「個々の司法修習終了者の経済的な状況を勘案した措置の在り方」をこの1年以内に検討することと、「法曹の養成に関する制度の在り方全体」についても速やかに検討を加えることを求めている。
そこで、政府及び最高裁判所に対し、付帯決議に基づく検討機関を早急に設置されるよう要望する。
当会としては、国民のための法曹の役割と養成制度の在り方という観点から、市民とともに改めて司法修習生の給費制度の意義を検討し、給費制の存続を求めそのことに対し、より広範な国民の理解を得るべく努力する所存である。

以上

2011年(平成23年)1月14日
埼玉弁護士会会長  加村 啓二

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