2014.06.18

憲法解釈の変更により集団的自衛権行使を容認する閣議決定に 断固反対する会長談話

安倍首相の私的諮問機関にすぎない「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」は、本年5月15日、従前の政府解釈と異なり憲法9条の下でも解釈を変更することにより集団的自衛権の行使などを可能とする報告書を提出した。その後、自民党は、15の軍事的事例をあげ、①グレーゾーン事態における武力行使、②PKO・集団安全保障における武力行使、③集団的自衛権の行使を可能とし、日本を戦争する国家にするための協議を公明党に求めている。そして、安倍首相は、6月22日までの通常国会会期中に、拙速に集団的自衛権などの行使を容認する閣議決定を行うことを明言した。
しかし、日本国憲法が制定されてから、現在に至るまで、長年にわたり歴代内閣は、専守防衛を掲げ、他国防衛のために自国の武力を行使することを本質とする集団的自衛権を行使することはできないという憲法解釈を一貫して維持してきた。その結果、日本は、憲法制定後これまでの70年近くの間、国際紛争における武力の行使によって人の生命・身体を害したことはなく、もとより他国防衛のための武力行使に及ぶことなどなかった。
ところが、現内閣は、憲法9条に関して長年積み上げられ維持されてきた集団的自衛権は認められないという政府解釈を、国民の意思を問うことなく、一内閣の閣議決定により、一方的に変更しようとしている。このような閣議決定の強行は、国民主権・立憲主義に反するとともに、解釈によって、恒久平和主義の中核をなす憲法9条を実質的に破棄しようとするものである。
当会は、2008年5月28日「日本国憲法の平和主義を堅持することを求める決議」を総会決議として採択し、2013年11月13日「憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認並びに国防軍の創設に反対する声明」を出し、2014年5月22日「解釈改憲による集団的自衛権行使容認に反対し、非軍事恒久平和主義、立憲主義の堅持に向けた諸活動に取り組む決意を表明する総会決議」を採択し、同年6月9日、560人が参加した「集団的自衛権に反対するパレード」を実施するなど、憲法の恒久平和主義堅持のための諸活動に取り組んできた。
当会は、現内閣が、集団的自衛権に関する従前の政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使などを容認する閣議決定を行うことは、国民主権・立憲主義に反し、恒久平和主義を破棄するものであることから断固反対するものである。

以 上

2014(平成26)年6月18日
埼玉弁護士会会長  大倉 浩

戻る