2014.09.09

平成26年度司法試験合格者発表を受けての会長談話

  1. 本日(9月9日),法務省司法試験委員会は今年度の司法試験の合格者数を1810人と発表した。この数は昨年(2049人)より239人の減とされているが,当会の求める司法試験合格者数の大幅な減員にはほど遠いものであり,法曹,とりわけ弁護士の供給過多による弊害の解消にはなお不十分である。
  2. 近年,法曹人口とくに弁護士人口の激増による就職難,法科大学院志願者の激減等,司法改革が目指した法曹界の未来とは全く異なり,法曹界そのものの根幹が揺らぎかねない重大な事態となるに至っている。
    この事態を重く受け止めた総務省は,2012(平成24)年4月の政策評価において,「現状では2,000人規模の増員ペース(年間合格者数)を吸収する需要は顕在化しておらず,現在の需要規模と増員ペースの下,弁護士の供給過多となり,新人弁護士の就職難や即独,ノキ弁が発生・増加し,OJT不足による質の低下などの課題が指摘される状況となっている。」として早期減員の必要性を示唆する勧告を行った。
  3. その後,自由民主党政務調査会司法制度調査会・法曹養成制度小委員会合同会議は,本年4月9日付「法曹人口・司法試験合格者数に関する緊急提言」において「まずは平成28年までに1500人程度を目指すべき」と結論付けて弁護士人口問題への対応が喫緊の課題であることを明示した。
    また,公明党法曹養成に関するプロジェクトチームも,同日付「法曹養成に関する緊急提案」の中で「司法試験の年間合格者数を,まずは1800人程度とし,その後,今後の内閣官房法曹養成制度改革推進室の法曹人口調査検討を踏まえつつ,1500人程度を想定する必要もある。」と明記した。
  4. これら政府・与党の動きに先んじて,日本弁護士連合会は,2012(平成24)年3月15日,司法試験合格者数を1500人まで減員し,さらなる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要,問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべきである等の提言を行っているが,当会では,既に2007年12月の時点で「弁護士数の適正規模についての調査・検証が完了するまでの間,当面,司法試験の年間合格者数を1000名程度とすべきことを政府に求める旨の総会決議」を行い,続く2009年5月には「4年ないし5年をかけて司法試験合格者数を1000人程度にすべき」との決議を採択している。
  5. さらに,当会を含む各地の弁護士会が地方議会に対する請願活動等を行った結果,「法曹養成制度の抜本的な改革を求める意見書(司法試験の合格者数を相当数減員する旨を明記したものを含む)」が,既に,埼玉県議会,北海道議会を含む8道県議会,さいたま市,千葉市及び札幌市を含む18の市町村議会,全国で合計26の地方議会において採択されるに至っている。
    このように,司法試験合格者数を早急に減少させる必要があることは,弁護士会のみならず,政府,与党,そして一般市民においても十分認識されるに至っている。
  6. しかしながら,本年の司法試験合格者は1810人であり,昨年の2049人から有意に減少したとはいえるものの,各方面から指摘されている弊害の解消にはまだ不十分である。引き続いて更なる減員を進めることが不可欠である。
    よって,2015(平成27)年司法試験における司法試験合格者数の更なる減員をここに強く求める。

以 上

2014(平成26)年9月9日
埼玉弁護士会会長  大倉 浩

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