政府提出にかかる安全保障関連法案の制定に反対する埼玉弁護士会歴代会長有志声明

政府は,安全保障関連法案を国会に提出し,現在,衆議院において,同法案が審議されている。
日本国憲法は,憲法前文において平和的生存権を確認し,憲法9条において,戦争放棄,戦力不保持及び交戦権の否認を規定している。これらの諸規定は,戦前,政府の行為によって数多くのアジア諸国民等や日本国民の命が奪われ、戦争の惨禍が起こったという痛切な反省に基づいている。
歴代の政府は,日本国憲法のもと,自衛のための実力の行使は認められるとしつつも,その発動のためには,我が国に対する武力攻撃の発生を前提とし,集団的自衛権は行使できないとしてきた。しかるに,現政府は,このような憲法解釈を一方的に変更したうえで集団的自衛権の行使を容認することを含む本法案を提出した。
そのほかに,本法案は,自衛隊による後方支援の地理的な活動領域を無制限に拡大し,また,自衛隊の他国軍に対する弾薬の提供まで可能にするなど,多くの問題を含んでいる。
本法案は,平和的生存権を確認した憲法前文,戦争放棄,戦力不保持及び交戦権の否認を規定した憲法9条などに明確に違反するものである。
我々,埼玉弁護士会の歴代会長有志は,基本的人権を擁護し,社会正義を実現することを使命とする弁護士として,憲法違反の本法案に断固反対し,廃案を求めるとともに,国民の多数が反対し,また,地方議会において本法案に反対する決議や慎重審議を求める決議が相次ぐなか,本国会において強行採決をすることのないよう強く求めるものである。

以上

２０１５（平成２７）年７月１５日

＜埼玉弁護士会　歴代会長有志＞
柴山　眞一郎　　畑　　仁　　
宮澤　洋夫　　　長島　佑亨　
早坂　八郎　　　田島　久嵩　
桜井　和人　　　坂巻　幸次　
城ロ　順二　　　木村　壮　　
細田　初男　　　村井　勝美　
佐々木　新一　　馬橋　隆紀　
柳　重雄　　　　難波　幸一　
中山　福二　　　田中　重仁　
蔭山　好信　　　小川　修　　
海老原　夕美　　小出　重義　
加村　啓二　　　松本　輝夫　
田島　義久　　　池本　誠司　
大倉　浩　

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