2013.09.19

2013年(平成25年)度司法試験合格者数に対する会長声明

去る9月10日,法務省司法試験委員会は今年度の司法試験の合格者数を2049人と発表した。この数は昨年より53人の減とされているが,なお2000人以上の合格者を維持するものであって,法曹人口の増加を加速させたものである。
法曹人口,なかでも弁護士人口に限られた急激な増加は,司法修習終了者の就職難を深刻化させ,その結果として実務経験による技能習得の機会を十分得ていない弁護士を多数輩出するだけでなく,弁護士の過当競争による行き過ぎた訴訟社会を招来するものであって,ひいては一般市民の法的権利・利益が法曹によって害されるという由々しき事態を生じさせかねない。
この問題に対し,日本弁護士連合会は,昨年3月15日,司法試験合格者数を1500人まで減員し,さらなる減員については法曹養成制度の成熟度や現実の法的需要,問題点の改善状況を検証しつつ対処していくべきである等の提言を行っているが,当会では,既に2007年12月の時点で「弁護士数の適正規模についての調査・検証が完了するまでの間,当面,司法試験の年間合格者数を1000名程度とすべきことを政府に求める旨の総会決議」を行い,続く2009年5月には「4年ないし5年をかけて司法試験合格者数を1000人程度にすべき」との決議を採択した。
また,埼玉県下では,2012年6月に川越市議会が司法試験年間合格者数を1000人程度に戻すことを求める意見書を採択したのを皮切りに,同年10月にさいたま市議会が,そして同年12月には埼玉県議会が,相次いで法曹人口の検討をはじめとする法曹養成制度の見直しを求める意見書を採択している。
このように,法曹内部にとどまらず一般市民からも法曹人口の激増に対する反対の声が上がっているなかで,政府の法曹養成制度検討会議及び関係閣僚会議は、合格者3000人目標を撤回した。にもかかわらず、法務省司法試験委員会が2000人規模の合格者を維持したことは,誠に遺憾といわざるをえない。
そこで,当会は,政府に対し,司法試験の合格者数を直ちに見直し,年間合格者数を1000人程度とするよう求める。

以上

2013年(平成25年)9月19日
埼玉弁護士会会長  池本 誠司

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